研修概要
川崎医科大学附属病院は特定機能病院に認定されており、
高度先進医療に力を注いでいますが、1次から3次までの救急を受け入れており、
大学病院でありながら救急疾患、特にコモンディジーズも多いことが特徴です。
当院麻酔科専門医研修プログラムは、
日本麻酔科学会専門医制度および日本専門医機構専門医制度に準拠しており、
麻酔科専門医取得に必要な症例数および研究業績を満たすことが可能です。
当院での研修に加え、専攻医の希望する病院とプログラム連携を行い、
6ヵ月間〜1年間の連携施設での研修も行っています。
主な研修連携施設は、中四国の一般総合病院、心血管メインの病院、
小児病院などがあり希望によって多様な研修が可能です。
また岡山大学、神戸大学といった他の大学病院を経験することも可能です。
専門プログラム修了後も進路について助言、協力いたします。
サブスペシャリティ専門医、大学院進学、
中四国および関西での一般病院勤務、国内専門施設、留学など
多様な要望にお応えする準備をしています。
麻酔科専門医研修プログラム
岡山県内で独自のこのプログラムを有しているのは3病院であり、当院はそのうちの1つです。
研修期間中、希望があれば国内留学によってさらに幅広い症例を経験することも可能です。
学生教育
1.臨床実習
月曜日から金曜日まで朝8時に集合します。症例プレゼンテーションのカンファレンスに参加し、周術期管理の問題点と対応について理解します。水曜日は7時30分からの抄読会に参加し、麻酔および集中治療関連の最新学術論文に触れて知識を得ています。カンファレンス後は手術室に移動し、様々な症例の麻酔管理を見学しながら、以下の「医師の監督と指導下に臨床実習の学生に認める行為」について体験をします。
- 麻酔記録の記入
- 心電図、パルスオキシメーターなどのモニター装着
- マスクとバッグを用いての用手換気
- 気管挿管、声門上器具の挿入
- 導尿カテーテルの留置
- 静脈ラインの確保
- 動脈ラインからの血液採取 など
また、手術室での麻酔実習と平行して、以下の小講義・シミュレーション・ハンズオンなどに参加し麻酔管理に関する理解を深めます。
- 症例検討(周術期管理と術前評価)
- シミュレーション(人工呼吸、気道確保)
- ハンズオン(麻酔全般、区域麻酔)
- ペインクリニック外来実習
毎日16時からは集中治療(ICU)ラウンドに参加し集中治療管理についても学びます。
大学院
医学の進歩は過去の研究から。未来の患者のために
現在、川崎医科大学大学院生理系分野周術期管理・集中治療医学では、主に二つの研究に着手しています。ひとつは術後腎障害の基礎研究で、現在はモデル作成を行っています。1名の大学院生が取り組んでおり、将来の術後患者さんへの福音となるべく日々研究を行っています。
もう一つはEIT(Electrical Impedance Tomography)を用いた麻酔中の人工呼吸の術中術後への呼吸機能への影響の評価に関する臨床研究です。こちらの研究も大学院生1名が取り組んでおり、まもなく解析結果をお知らせすることができる段階となっています。
その他、希望により生理学教室での大学院研究など多様な要望にお応えすることも可能です。
カンファレンス
朝のカンファレンス
毎日、麻酔症例とICU患者のカンファレンスを行っています。
原則、毎週水曜日には抄読会があります。
随時、症例検討会を開いて、情報共有に努めています。
ICUカンファレンス
毎日9時より、ICUの日勤担当医を中心に担当診療科の医師、看護師、臨床工学士、管理栄養士など多職種で行っています。夕方には麻酔・集中治療科のラウンドを行い、夜勤担当医への引き継ぎのみならず、スタッフ間の意思疎通を図りながら切れ目ない診療を心がけています。
勉強会
毎週1-2回、最新の論文の抄読会を行っています。専攻医だけでなく、初期研修医や学生も参加します。最新の知見を学ぶと同時に、質疑応答などを通して批判的な論文の読み方も学べます。
また、年に数回(2か月に1回を目標)のペースで数時間程度の勉強会を開いています。
専門医試験を控えた専攻医や初期研修医を対象として、講義だけでなくハンズオンなども行っています。
外部講師を招いて行うこともあります。
今まで行ったテーマ
- 末梢神経ブロック(ハンズオン)
- 小児麻酔(座学)
- 気道管理(DAM:difficult airway management)(ハンズオン)
- 気管支鏡(ハンズオン)
- 硬膜外麻酔・脊髄くも膜下麻酔(ハンズオン)
- 中心静脈カテーテル(CVC:central venous catheter)(ハンズオン)
- 末梢挿入式中心静脈カテーテル(PICC:peripherally inserted CVC)(ハンズオン)
- 栄養管理(座学)
- 人工呼吸管理(ハンズオン)
- 筋弛緩(座学)
先輩医師より
様々なことにチャレンジする機会が多く、やりがいを感じられます
講師<医長>
作田 由香
経歴
- 平成18年3月 川崎医科大学医学部医学科卒業
- 日本専門医機構麻酔科専門医
- 日本ペインクリニック学会専門医
当科では、女性の医師が多く働いています。また手術室全体でも外科系医師の中に女性を多く見かけるようになりました。目に見えてこの10年ほどで女性が働いていける環境が良くなってきたと感じています。
麻酔科の業務は手術へ向かう患者さんの安心と安全をバックアップする、また外科医に対して手術を円滑に遂行できるように快適な手術環境を提供する仕事です。さらに麻酔科は手術室運営や集中治療室業務など病院全体に関わる部門であり、様々なことにチャレンジする機会が多くやりがいを感じられます。
女性に限らずおのおの日々の生活があります。また結婚や出産・育児、時には介護など、男女関係なく生きていれば様々なことがありますが、まずプライベートは大切にしてほしいと考えています。一人の人として充実した生活を送り、その上で医師として目標をもちやりがいを感じながら働いていけるように皆さんをサポートいたします。時には私たちがサポートしていただくこともあるかもしれません。
これからも全員が気持ちよく、また病院業務に支障なく働いていけるように、日々工夫や進化、努力を続けていきます。
私は女性ですが、上司から後輩まで年齢に関係なく男性医師の先生方のサポートが厚く、子育てをしながら安心して働けてきたという自負があります。
皆さんもぜひ当院での研修・就職を考えてみてください。お待ちしています。
フレキシブルな労働環境で、キャリアアップ
大学院生
八井田 望
経歴
- 平成30年3月 川崎医科大学医学部医学科卒業
- 平成30年4月~ 令和2年3月 川崎医科大学附属川崎病院 初期研修医
- 令和2年4月~ 川崎医科大学附属病院 後期研修医(麻酔・集中治療科)
- 令和4年4月~ 川崎医科大学院(周術期管理・集中治療医学)入学
学会発表
- 日本麻酔科学会第68回学術集会
- 2022年度支部学術集会中国四国支部
麻酔科医として5年目になります。私は出身大学であることにくわえて、症例の豊富さ、医局の雰囲気の良さに惹かれて当院での研修を希望しました。当院では大学病院特有の専門的な症例も多いですが、虫垂炎などのcommon diseaseも多く、幅広い麻酔を経験することができます。専門医取得に必要な症例数は容易に取得することができます。また集中治療に関わる機会も多く、多岐にわたって学ぶことができる環境です。
当科はアットホームな雰囲気で指導医との距離が近く、相談等がしやすいです。飲み会や医局旅行などイベントも多く、医局内にとどまらず、他科の先生方や初期研修医、看護師など多職種の方々との親睦を深めています。若手が多いことも働きやすい環境の要因の1つです。
私は大学院に進学しており、後輩は国内留学をするなど、キャリアアップのための選択肢があるのも魅力です。また、私は一児の父ですが、子供が生まれた際には育児休暇の取得をさせていただき、現在でも保育園の送迎等で融通を利かせて頂いております。このようにフレキシブルで働きやすい職場で、今後も頑張っていきたいと思っております。
患者様に合わせた最適な医療を
シニアレジデント <臨床助教>
梅田 真康
経歴
- 令和2年3月 川崎医科大学卒業
- 令和2年4月~令和4年3月 川崎医科大学附属病院初期研修医
- 令和4年4月~ 川崎医科大学附属病院 後期研修医
学会発表
- 第71回日本麻酔科学会学術集会
麻酔科医として2年目になります。1日の始まりは、朝8時から行われる症例カンファレンスです。一例一例、術前診察・麻酔計画・準備・麻酔管理・術後診察を行っていく過程でたくさんの経験を得ることが出来ます。ハイリスク症例では、主科・麻酔科・看護師・臨床工学技士で合同カンファレンスを行い、意見を出し合って最善の方法がとれるよう検討しています。
患者様はそれぞれ抱えている疾患や背景が異なります。各患者様にとって最適な医療を提供できるよう、心がけています。
指導医の先生方はみなさんやさしく、困っているとすぐ相談に乗ってくれ、一緒に考えてくれます。また、外科系の先生方との垣根も低く相談しやすいところも魅力的です。担当の麻酔を行い、翌日症例の術前準備、術後回診を終えると気付けば一日が終わっています。やりがいを感じながら日々過ごしています。
医局のアットホームな雰囲気に惹かれて
シニアレジデント <臨床助教>
菅 恵利花
経歴
- 令和4年3月 川崎医科大学医学部医学科卒業
後期研修1年目です。私は出身大学であることに加え、医局のアットホームな雰囲気に惹かれて当院での研修を希望しました。
入局したばかりの頃は、研修医の時とは違って責任が増えたり、わからないことが多かったりと不安も多くありました。しかし、指導医の先生方はとても優しく、症例の相談をした際には一緒に考えてくださり、考え方のポイントや手技に関しても手厚く指導してくださりました。また、オペ室やICUに携わるスタッフの皆さんとも情報共有を行ったり、様々な面でサポートしていただいたおかげで仕事にも慣れ、少しずつスキルアップできているように感じています。
入局してまだ数ヶ月しか経ってないためICUに関してはまだあまり携わったことはないのですが、毎日の朝のカンファレンスやICUラウンドを通して日々どのようなことが行われているのかを学び、夜勤の時に上級医の指導を受けながら少しずつ経験を積み重ねています。
それに加えて、若手同士も仲が良く、頼りになる先輩方が多くいるのも魅力の1つだと思います。先輩方が1年目の私をいつも気にかけてくださり、困っている時には助けてくださるため、毎日元気に笑顔で充実した研修ができています。