麻 酔
ハイブリッド手術室、血管撮影室を併設
川崎医科大学附属病院の中央手術室は14の手術室と3つの血管造影室、1つのハイブリッド手術室から構成され、これら全てが集中治療室に隣接しています。術後に集中治療を要する患者の動線を短く抑えることができると同時に、多様な手術・治療方針に幅広く対応することが可能です。
多くの科及び広い年齢層にわたる症例
全身麻酔で行われる手術は全例が麻酔科管理であり、多くの科および広い年齢層にわたって症例に偏りが少ないのが特徴です。心臓血管外科や脳神経外科など予定大手術はもちろん急性腹症や骨折などの数多くの緊急手術もあります。小児外科の乳児腹腔鏡鼠径ヘルニア手術から超高齢者TAVIまで幅広い年齢層・多様な手術術式に対応しています。
きめ細かい指導の上での患者管理
初期研修医、後期研修医はスーパーバイザーや上級医の指導のもと、麻酔導入・覚醒時はもちろんのこと、常時きめ細かい指導の上での患者管理が行えるようにしております。若手から気づいたことも確認しやすい環境が特徴です。
集中治療
集中治療室の運営体制
当院集中治療室(ICU)は1994年より日本集中治療医学会研修認定施設に認定されており、現在ICU、CCU計11床で稼働しています。当院集中治療室は麻酔科担当医師1-2名により日勤帯を、麻酔集中治療科当直医師が夜間帯を担当し、運営しております。主治医科などの各科の協力の下、24時間体制で患者さんの治療を途切れなく行っています。
また、研修期間においては集中治療医学会専門医の指導のもと、人工呼吸の基礎知識、持続血液透析の概念、重症患者の循環管理などを学ぶことができます。
対象疾患・患者
ICUでは主に心臓外科手術、脳外科手術、肝胆膵手術、食道手術などの高侵襲手術の術後、また虚血性心疾患、慢性呼吸不全、神経筋疾患の合併などリスクのある症例の術後管理を行っています。術後は周術期管理の一環としてICUで引き続き管理を行うことで回復を図ることを目的としています。また、術後以外では重症感染症・敗血症、心不全、播種性血管内凝固(DIC)、劇症肝炎、急性膵炎、腎不全、血液疾患、急性脳炎、てんかん重積、などの治療で内科的疾患を扱っています。
循環器内科との協力体制
また循環器内科管理のCCUが併設しており、循環器内科担当医師が常駐しています。心臓超音波検査・診断やPCPSをはじめとする補助循環の管理、持続血液透析管理では専門の腎臓内科の協力体制があります。ICUでは原疾患の治療とともに、臓器サポートとして人工呼吸器、補助循環装置(大動脈内バルーンパンピング、経皮的心肺補助など)、血液浄化装置(持続的血液濾過透析、血漿交換など)など治療を行います。
多職種連携
これらの高度な医療機器の維持管理には臨床工学技士が専従し24時間体制であたっています。また栄養管理は全身的な重症病態から合併症なく回復するために重要であり管理栄養士と協力して早期からの栄養改善に努めています。生命の危機を脱した後も、歩く、食事をするなどの日常生活復帰できなくなることを避けるため、ICU入室後できるだけ早くからICU専任の理学療法士によるリハビリを行い、回復に努めます。
カンファレンス&ラウンド
朝は各診療科、多職種が参加し治療目標を立案するカンファレンス、その後のウォーキングラウンドで治療方針の決定や患者経過の確認を行います。また、夕方のウォーキングラウンドでは1日の治療内容と翌朝に向けての管理内容の確認を行い、夜間も引き続ききめ細かな管理ができるよう確認し、臨床実習生への教育にも役立てています。
院内急変対応
また、院内緊急コールシステム(当院ではK-MET)対応では、救命センター医師、看護スタッフとともに、院内での院内心停止を含む患者やその家族、 病院スタッフの急変発生時に初期治療に対応します。麻酔集中治療科ではビデオ喉頭鏡をもって参加し、気道管理においても専門性を発揮します。また、RRS(Rapid Response System)対応によって、一般病棟での急変や重症化を防ぐため取り組みとして、各診療科の担当医師や看護師から入院患者の異変に対する相談や対応を行っています。
麻酔・集中治療科とチーム医療
ICU、院内救急システムいずれにおいても、それぞれの職種の専門性を活かし、集学的な治療を行う必要があります。麻酔集中治療科では、様々な職種のスタッフが協力するチーム医療の中心となって、患者さんが早期に回復できる医療の提供に取り組んでいます。
ペインクリニック
扱う疾患・症候
腰痛 下肢痛 頸部・肩や腕の痛み (腰椎椎間板ヘルニア・腰部脊柱管狭窄症・腰椎圧迫骨折など)
帯状疱疹 三叉神経痛 などの神経障害性疼痛
慢性痛 原因のわからない痛み
がん性疼痛 等
ペインクリニックとは
ペインクリニックとは「痛み」の診断治療をする分野です。骨折や腹痛など、急な痛みを主訴として来院する患者さんに対しては、検査をして原因を調べます。原因がはっきりすれば投薬やインターベンション治療を用いて原因の治療をします。これは急性痛といい、原疾患が治癒すれば、痛みは消失します。
もともと痛みは、身体に生じた異常事態を知らせる警告反応として大切な役割を持っています。実際、病院を受診する一番の理由は「痛み」です。多くの痛みは原因となる病態の改善とともに軽減消失します(主に急性痛として分類されます)。しかし、警告の役割を終えた痛みがいろいろな理由で長く存在すると、より強い痛みや新しい種類の痛みが加わり、病気の部位の器質的異常や機能低下だけの問題だけでなく身体的・精神的・社会的要因が複雑に関与し始めます。ひいては生活の質(Quality of life:QOL)を低下させることになります。これが慢性痛と言われる状態です。
このような状態に陥った時はもちろんのこと、陥りそうな時には、身体的・精神的苦痛を適切に和らげ消失させることが重要になります。
慢性痛は、頭痛、肩関節周囲炎、筋・筋膜性疼痛、変形性腰椎症、脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニア、帯状疱疹後神経痛、術後の長く続く痛み(肺がんや乳がんの手術の後など)など数多くあり、その原因と病態は様々です。
ペインクリニックでは、薬物療法、場合によってはリハビリテーション、認知行動療法など多職種と協同し、治療に当たります。
また様々な背景をお持ちの患者さんを多く診療させていただくことで、ペインクリニック専門医の取得を目指すことも可能です。